ポータブル電源でスマートフォンを何回充電できるかは、本体容量(Wh)とスマートフォン側の電池容量(mAh)を同じ単位にそろえて計算します。この記事では、旧記事に含まれていた出典不明の充電回数や効率グラフを使わず、メーカー公表値と計算式だけで目安を整理します。
目安を出すときは、スマホ電池をWhへ換算し、ポータブル電源のWh容量で割ります。ただし、ケーブル、USBポート、スマホ側の発熱、待機電力などでロスが出るため、計算結果は上限に近い値として扱い、防災用途では余裕を見た容量を選びます。
確認方針: スマホ容量、ポータブル電源容量、安全上の注意は、メーカー日本向け公式ページまたは公的機関の情報で確認できるものだけを使用しています。確認日は2026年7月10日です。
結論 スマホ充電回数はWhで計算する
スマホ充電回数は「ポータブル電源の容量Wh ÷ スマホ1回分のWh」で考えます。たとえば、5,000mAh級のスマホは、リチウムイオン電池の電圧を3.7Vとして換算すると18.5Whです。288Whのポータブル電源なら、理論上は288Wh ÷ 18.5Wh = 約15回分に相当します。
ただし、この約15回はロスを含まない上限寄りの計算です。防災用に見積もるなら、スマホ1回分を25Wh程度の計算条件に置き、288Wh ÷ 25Wh = 約11回分のように余裕を見た方が現実的です。家族4人がそれぞれ1日2回、3日間充電するなら、25Wh × 4人 × 2回 × 3日 = 600Whがスマホだけの計算上の必要容量になります。
| 見方 | 計算条件 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 理論上限に近い見方 | スマホ公表mAhをWhに換算して割る | 容量の大小を比較するときに使います。 |
| 防災用の余裕を見た見方 | スマホ1回分を25Whなど、少し大きめに置く | 家族人数、日数、通信機器も含めて容量を決めるときに使います。 |
家族全体の容量計算は、家族4人・72時間の容量計算も参照してください。
mAhとWhの換算式
スマホの電池容量はmAh、ポータブル電源はWhで表示されることが多いため、そのままでは比較できません。東京消防庁のリチウムイオン電池資料では、リチウムイオン電池の電圧として約3.7Vが示されています。この記事では、スマホ電池の概算Whを出すときに3.7Vを使います。
換算式
Wh = mAh × 3.7V ÷ 1000
充電回数 = ポータブル電源容量(Wh) ÷ スマホ1回分(Wh)
| スマホ電池容量 | 計算 | 概算Wh |
|---|---|---|
| 4,870mAh | 4,870 × 3.7 ÷ 1000 | 約18.0Wh |
| 5,000mAh | 5,000 × 3.7 ÷ 1000 | 約18.5Wh |
| 5,200mAh | 5,200 × 3.7 ÷ 1000 | 約19.2Wh |
注: スマホ内部の電圧や充電制御は機種により異なります。上表は、公表mAhを同じ条件で比べるための概算です。
スマホ電池容量の公表値例
スマホのmAh表記は、メーカー公式仕様で確認できる機種だけを計算に使います。AppleのiPhone仕様ページは、動画再生時間や高速充電条件を中心に示しており、mAhが明記されていない場合があります。その場合は、非公式のmAh表で充電回数を断定せず、スマホ1回分を25Wh程度に置いた容量計算に寄せます。
| 機種 | 公式公表の電池容量 | 概算Wh | 公式出典 |
|---|---|---|---|
| Google Pixel 10 | 標準4,970mAh | 約18.4Wh | Google Pixel ハードウェア仕様 |
| Google Pixel 10 Pro | 標準4,870mAh | 約18.0Wh | Google Pixel ハードウェア仕様 |
| Samsung Galaxy A36 5G | 約5,000mAh(標準) | 約18.5Wh | Samsung Japan公式商品ページ |
| iPhone 16 | 公式仕様ではmAh表記を確認できない | mAh換算は行わない | Apple公式仕様ページ |
注: Google Pixel 10 / Pixel 10 Pro、Samsung Galaxy A36 5G、iPhone 16の公式ページを2026年7月10日に確認しました。
ポータブル電源容量別の充電回数目安
ここでは、メーカー日本向け公式ページで現行販売ページを確認できる機種を例に、5,000mAh級スマホ(約18.5Wh)と、余裕を見た25Wh条件の両方で計算します。旧機種のAnker PowerHouse 521やEcoFlow RIVER 2 Maxを前提にした説明は、現行のAnker Solix C300、EcoFlow RIVER 3 Plus、Anker Solix C1000 Gen 2に差し替えました。
※ 表は横にスクロールできます
| 現行機種例 | 公表容量 | 約18.5Whで割る理論値 | 25Whで見る防災用の目安 | 公式出典 |
|---|---|---|---|---|
| Anker Solix C300 Portable Power Station | 288Wh | 288 ÷ 18.5 = 約15回 | 288 ÷ 25 = 約11回 | Anker Japan公式商品ページ |
| EcoFlow RIVER 3 Plus | 286Wh | 286 ÷ 18.5 = 約15回 | 286 ÷ 25 = 約11回 | EcoFlow Japan公式商品ページ |
| Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station | 1024Wh | 1024 ÷ 18.5 = 約55回 | 1024 ÷ 25 = 約40回 | Anker Japan公式商品ページ |
注: 掲載機種の現行販売ページと容量は2026年7月10日にメーカー日本向け公式サイトで確認しました。販売状況や仕様は変更されるため、購入前に公式ページで最新情報を確認してください。
停電時に容量を使い切らない考え方
停電時は、スマホを満充電にすることより、連絡、情報収集、ライト、家族間の安否確認に必要な電力を残すことが重要です。ポータブル電源の残量をスマホだけに使い切らないよう、日数と人数で上限を決めます。
スマホ充電回数を決める
1人あたり1日1回、家族4人なら25Wh × 4人 = 100Wh/日を基準にできます。1日2回なら200Wh/日です。
通信機器を別枠にする
Wi-Fiルーター、モバイルルーター、LEDライトも使うなら、スマホとは別に消費Whを足します。容量計算を分けると不足に気づきやすくなります。
ACよりUSBを優先する
スマホだけなら、ACアダプターを介さずUSB-CやUSB-Aから給電できる機種が扱いやすくなります。必要なポート数と出力Wを確認してください。
家族4人・3日分の簡易計算
25Wh × 4人 × 1回/日 × 3日 = 300Wh
25Wh × 4人 × 2回/日 × 3日 = 600Wh
スマホ以外の機器まで含めて選ぶ場合は、ポータブル電源の選び方で容量、出力、予算の順番を確認してください。
容量選びのチェックポイント
スマホ充電だけなら300Wh前後の小型機でも計算上は複数回の充電に対応できます。ただし、防災用途ではスマホ以外に通信機器、ライト、ラジオ、ノートPCを使うことがあり、容量だけでなく出力ポートと保管性も確認します。
| 項目 | 確認する理由 | 見る場所 |
|---|---|---|
| Wh容量 | 充電回数の計算の土台になります。 | メーカー公式仕様、本体ラベル |
| USB-C出力 | スマホ、タブレット、ノートPCを直接給電しやすくなります。 | 出力ポート仕様 |
| 同時給電数 | 家族分をまとめて充電する場合に不足しやすい項目です。 | USB-A、USB-C、シガーソケット数 |
| 電池種別と保管条件 | 長期保管や充放電サイクルの考え方に関係します。 | メーカー公式仕様、取扱説明書 |
具体的な機種比較は、ポータブル電源おすすめ比較で公表スペックを確認してください。電池種別の違いは、リン酸鉄リチウムと三元系の違いで整理しています。
安全に使うための注意点
消費者庁は、ポータブル電源について、落下などの強い衝撃を与えないこと、高温環境下での使用を控えること、屋外では防水・防塵性能を有する製品の使用を検討することを案内しています。スマホ充電だけの用途でも、保管場所と使用環境は確認してください。
高温・直射日光を避ける
車内、窓際、夏場のベランダなど高温になりやすい場所での保管は避けます。長期保管時はメーカーの保管条件を確認してください。
衝撃や変形を確認する
落下後に発熱、変形、異臭などがある場合は使用を中止し、メーカー窓口に相談します。異常がある状態で充電を続けないでください。
出典: 消費者庁「災害時にも活躍する携帯発電機やポータブル電源の事故と停電復旧後の通電火災に注意!」, 経済産業省「ポータブル電源の安全性要求事項」
よくある質問
iPhoneの充電回数は計算できませんか?
Apple公式仕様でmAhが明記されていない機種は、機種別mAhを使った計算をしません。防災用の容量計算では、スマホ1回分を25Wh程度に置く方法が扱いやすくなります。
300Whクラスで家族4人のスマホを3日分まかなえますか?
1人1日1回なら、25Wh × 4人 × 3日 = 300Whです。ポータブル電源の表示容量と同じ程度になるため、通信機器やライトも使うなら余裕は少なくなります。1日2回充電する前提なら600Wh程度を見ます。
USB-CとACアダプターではどちらを使うべきですか?
スマホだけならUSB-CやUSB-Aから直接給電できる構成が扱いやすいです。ACアダプターを使う必要がある機器もあるため、機器ごとの対応ポートと出力Wを確認してください。
ソーラーパネルがあればスマホ充電は足りますか?
天候、設置角度、影、ポータブル電源側の入力仕様で発電量が変わります。ソーラーは補助として考え、まずは必要Whを蓄えられる本体容量を決めてください。
参考文献
以下は本文中で根拠として使用した公式ページです。確認日は2026年7月10日です。
- 東京消防庁「リチウムイオン電池を用いた蓄電池設備の普及に対応した火災予防対策検討部会報告書」
- Google Pixel のハードウェア仕様
- Samsung Galaxy A36 5G 公式商品ページ
- Apple iPhone 16 仕様
- Anker Solix C300 Portable Power Station 公式商品ページ
- Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station 公式商品ページ
- EcoFlow RIVER 3 Plus 公式商品ページ
- 消費者庁「災害時にも活躍する携帯発電機やポータブル電源の事故と停電復旧後の通電火災に注意!」
- 経済産業省「ポータブル電源の安全性要求事項」