ポータブル電源

ポータブル電源の機内持ち込み JAL/ANA/LCCの可否と条件を実測比較

ポータブル電源の機内持ち込み JAL/ANA/LCCの可否と条件を実測比較

主要航空会社ごとの可否・上限・申告条件を一次情報で比較し、出発前に迷わず準備できる判断材料(表・図)と問い合わせテンプレを提供します。
2025年11月時点の最新規定に基づき、JAL・ANA・LCC各社の違いと2025年7月に実施された新ルールを詳しく解説します。

この記事で分かること(IATA/ICAO準拠の考え方)

ポータブル電源の機内持ち込みは、国際民間航空機関(ICAO)と国際航空運送協会(IATA)が定める危険物規則書に基づいて規制されています。
これらの国際基準を各航空会社が独自に解釈・運用しているため、同じ製品でも会社によって取り扱いが異なる場合があります。

用語整理 予備電池=受託不可の理由

ポータブル電源は航空法上「予備電池」として扱われるため、受託手荷物(預け荷物)には一切入れることができません。
理由は、貨物室で発火した場合に迅速な対応ができないためです。必ず機内持ち込み手荷物として客室内に持参する必要があります。

JAL/ANA/LCCの可否一覧 容量・台数・申告の条件

航空会社別ポータブル電源持ち込み規定比較表(2025年11月時点)
航空会社 100Wh以下 100-160Wh 160Wh超 申告要否 受託可否 最終確認日
JAL 可(制限なし) 可(2個まで) 不可 100Wh超は要申告 全て不可 2025年11月
ANA 可(20個まで) 可(2個まで) 不可 100Wh超は要申告 全て不可 2025年11月
Peach 可(制限なし) 可(2個まで) 不可 100Wh超は要申告 全て不可 2025年11月
Jetstar 可(20個まで) 可(2個まで) 不可 100Wh超は要承認 全て不可 2025年11月
Skymark 可(制限なし) 可(2個まで) 不可 100Wh超は要申告 全て不可 2025年11月
Spring Japan 可(制限なし) 可(2個まで) 不可 100Wh超は要申告 全て不可 2025年11月

JAL 規定・現場回答まとめ

日本航空(JAL)では、2025年7月8日より機内でのモバイルバッテリー収納・使用に関する新ルールを実施しています。
ポータブル電源は「予備電池」として扱われ、座席上の収納棚への収納が禁止されています。機内では必ず手元または座席前ポケットなど、常に状態が確認できる場所に保管する必要があります。

ANA 規定・現場回答まとめ

全日本空輸(ANA)では、リチウムイオン電池の輸送について国土交通省とIATA危険物規則書に準拠した規定を設けています。
予備電池としてのポータブル電源は、ワット時定格量100Wh以下のものは20個まで、100Wh超160Wh以下のものは2個まで機内持ち込みが可能です。

主要LCC(Peach/Jetstar/Skymark/Spring)比較表

主要LCC各社の規定は基本的にIATA規則に準拠していますが、運用面で若干の違いがあります。
特にJetstarでは100Wh超の場合に事前承認が必要とされており、他社の「申告」とは手続きが異なります。検査時の対応についても、LCCの方が厳格に実施される傾向があります。

2025年7月8日からの重要な変更

全ての国内航空会社で、モバイルバッテリー(ポータブル電源を含む)の座席上収納棚への収納が禁止されました。
発火・発煙時の迅速な対応のため、必ず手元で管理してください。

「何Whまで?」を正しく計算 表示の読み方と換算

ポータブル電源の容量制限は「Wh(ワット時定格量)」で判定されますが、製品によってはmAh表記のみの場合があります。正しい換算方法を理解することが重要です。

基本の計算式
Wh = mAh × 電圧(V) ÷ 1000

リチウムイオン電池の場合
Wh = mAh × 3.7V ÷ 1000

一般的な容量の換算例
mAh Wh(3.7V換算) 機内持ち込み可否 台数制限
10,000mAh 37Wh 制限なし
20,000mAh 74Wh 制限なし
27,000mAh 約100Wh 可(境界値) 制限なし
43,000mAh 約159Wh 2個まで
44,000mAh 約163Wh 不可 -

製品に電圧表示がない場合は、リチウムイオン電池の標準電圧3.7Vで計算するか、メーカーに問い合わせて正確な値を確認してください。

申告・梱包・英語フレーズ 止められにくい準備手順

ポータブル電源を安全かつスムーズに持ち込むための具体的な準備手順を説明します。

事前準備チェックリスト

  • 製品のWh表示を写真で記録
  • 端子部分の保護(絶縁テープまたは専用カバー)
  • 取扱説明書のコピーを携行
  • 100Wh超の場合は航空会社に事前連絡
  • 機内では手荷物として携行(収納棚使用禁止)

国際線での英語申告フレーズ

I have a portable power station. The capacity is [XX] Wh, which is under 160Wh limit. It's properly protected and for personal use only.

容量別申告例

  • 100Wh以下:「This is a 74Wh portable battery for personal devices.」
  • 100-160Wh:「This is a 150Wh power station. I've informed the airline in advance.」

想定問答 係員が確認する5項目と回答例

保安検査や搭乗時に係員から質問される可能性が高い項目と、適切な回答例を整理しました。

係員からの質問と適切な回答例
質問項目 日本語回答例 英語回答例
容量確認 「容量は○○Whで、160Wh以下です」 "The capacity is XX Wh, under the 160Wh limit"
用途確認 「個人使用のスマホ・カメラ充電用です」 "For personal use, charging phones and cameras"
台数確認 「1個のみです(または規定内の2個です)」 "Only one unit (or Two units within regulation)"
保護状況 「端子部分を絶縁テープで保護済みです」 "Terminals are protected with insulating tape"
事前申告 「100Wh超のため事前に連絡済みです」 "Pre-notified as it exceeds 100Wh"

トラブル事例と回避策 台数超過・端子露出・中古表示

実際の空港で発生しやすいトラブルと、その対処法について解説します。

台数超過による持ち込み拒否

100-160Whの製品を3個以上持参した場合、2個を超える分は持ち込みできません。事前に必要最小限の台数に絞り込んでください。

端子露出による危険物扱い

充電ポートや端子が露出していると危険物として扱われる可能性があります。絶縁テープや専用カバーで確実に保護してください。

中古品の容量表示不明

中古で購入した製品で容量表示が不明な場合、持ち込み許可が出ない可能性があります。事前にメーカー仕様書を入手するか、新品購入を検討してください。

注意 LiFePO4(リン酸鉄リチウム)電池

LiFePO4電池を使用するポータブル電源も同様の制限が適用されますが、一部の航空会社では取り扱いが異なる場合があります。必ず事前確認を行ってください。

更新監視 規定改訂の確認方法と問い合わせテンプレ

航空会社の規定は定期的に更新されるため、最新情報の確認方法を説明します。

公式情報の確認先

問い合わせテンプレート

航空会社への確認メール例

件名:ポータブル電源の機内持ち込みに関する確認

本文:
いつもお世話になっております。
○月○日の便名○○にて、以下のポータブル電源の機内持ち込みを予定しております。
・製品名:○○
・容量:○○Wh
・台数:○台
現行規定での持ち込み可否をご確認いただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。

まとめ 出発前チェックリスト

最終確認項目(出発前必須)

  • 容量が160Wh以下であることを確認
  • 100Wh超の場合は事前申告済み
  • 台数が規定内(100Wh超は2個まで)
  • 端子保護措置を実施
  • 製品仕様書を携行
  • 機内では手荷物として管理(収納棚使用禁止)
  • 充電時は常に監視可能な状態を維持
  • 破損・膨張がないことを確認

ポータブル電源の機内持ち込みは、正しい知識と事前準備により安全かつスムーズに行えます。
2025年7月に実施された新ルールを含め、各航空会社の最新規定を確認し、適切な手続きを行ってください。不明な点がある場合は、必ず出発前に航空会社に直接確認することをお勧めします。

参考文献

  1. IATA Dangerous Goods Regulations – IATA – https://www.iata.org/en/cargo/dgr/ – 最終閲覧日:2025年11月11日
  2. ICAO Technical Instructions – ICAO – https://www.icao.int/safety/DangerousGoods/ – 最終閲覧日:2025年11月11日
  3. 制限のあるお手荷物 – JAL – https://www.jal.co.jp/jp/ja/dom/baggage/limit/ – 最終閲覧日:2025年11月11日
  4. 機内持ち込み・お預かりに条件があるもの – ANA – https://www.ana.co.jp/ja/jp/guide/boarding-procedures/baggage/international/caution-restriction03/ – 最終閲覧日:2025年11月11日
  5. 電池・バッテリーを使用した携帯型電子機器 – Peach Aviation – https://cs.flypeach.com/hc/ja/articles/4659227838110 – 最終閲覧日:2025年11月11日
  6. 危険物/制限のある手荷物 – Jetstar – https://www.jetstar.com/jp/ja/help/dangerous-goods – 最終閲覧日:2025年11月11日
  7. 携帯型充電器の取り扱いについて – Skymark – https://faq-mobile.skymark.co.jp/app/answers/detail/a_id/2035 – 最終閲覧日:2025年11月11日
  8. リチウム電池を機内へ持ち込めますか – Spring Japan – https://jp.ch.com/help/List/e4f4e81ed0814f4a9956dfc9a86fbc4c.html – 最終閲覧日:2025年11月11日
  9. モバイルバッテリーを収納棚に入れないで! – 国土交通省 – https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku10_hh_000284.html – 最終閲覧日:2025年11月11日
  10. 飛行機へ持ち込めないもの(2025年版) – 政府広報オンライン – https://www.gov-online.go.jp/article/201412/entry-7500.html – 最終閲覧日:2025年11月11日
  11. Anker製品仕様 – Anker Japan – https://www.ankerjapan.com/ – 最終閲覧日:2025年11月11日
  12. EcoFlow製品情報 – EcoFlow Technology – https://jp.ecoflow.com/ – 最終閲覧日:2025年11月11日
  13. BLUETTI製品仕様 – BLUETTI Japan – https://www.bluetti.jp/ – 最終閲覧日:2025年11月11日

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