ポータブル電源

ポータブル電源の容量計算入門|スマホ何台・何時間かがすぐわかる

はじめてでもだいじょうぶ。スマホ台数と使う時間を入れるだけで、必要な容量の目安がわかります。停電やキャンプで本当に役立つポータブル電源選びを、電気の専門知識がなくても簡単に判断できるように解説します。

目次

    基本の考え方 容量(Wh)と時間の関係

    ポータブル電源の容量は「Wh(ワットアワー)」という単位で表示されます。これは「1時間あたりに使える電力量」を意味し、スマホ充電回数や家電の稼働時間を計算する基準となります。

    スマホ1台の目安[3000–5000mAh]は何Wh?

    一般的なスマホのバッテリー容量は3000~5000mAhです。これをWhに換算すると

    • 3000mAh × 3.7V ÷ 1000 = 11.1Wh
    • 4000mAh × 3.7V ÷ 1000 = 14.8Wh
    • 5000mAh × 3.7V ÷ 1000 = 18.5Wh

    実際の充電では変換ロスがあるため、スマホ1台のフル充電には約15~25Whが必要になります。

    変換ロスを見越す 効率80–90%の考え方

    ポータブル電源は表示容量の80~90%しか実際には使えません。これは変換効率やバッテリー保護機能によるものです。

    例えば500Whのポータブル電源なら、実際に使える容量は400~450Wh程度。この効率を踏まえた計算が重要です。

    かんたん計算ステップ

    家族の台数と使用時間を入力

    ポータブル電源容量計算ツール

    必要容量の目安を確認(計算フォーム)

    上記の計算ツールを使用することで、家族構成と使用パターンに基づいた必要容量が即座に分かります。スマホ以外にWi-FiルーターやLED照明も使用する場合は、追加で100~200Whを見込んでください。

    生活シーン別の目安

    停電一晩 Wi-Fi+LED+スマホ

    12時間の停電対応

    • スマホ4台(各2回充電): 160Wh
    • Wi-Fiルーター(10W × 12時間): 120Wh
    • LED照明(15W × 8時間): 120Wh
    • 変換ロス考慮(効率85%): 470Wh

    推奨容量: 500Wh以上

    キャンプ1泊 スマホ+ライト+小型扇風機

    24時間のアウトドア使用

    • スマホ2台(各3回充電): 120Wh
    • LEDランタン(8W × 6時間): 48Wh
    • 小型扇風機(25W × 4時間): 100Wh
    • 変換ロス考慮(効率80%): 335Wh

    推奨容量: 400Wh以上

    実測ログ 編集部の検証結果

    スマホ連続充電回数テスト

    編集部では500Whポータブル電源を使用し、実際のスマホ充電回数を測定しました。

    出典: 編集部実測(2025-07-20)- iPhone 14 Pro(4323mAh)での充電テスト
    機種 バッテリー容量 実充電回数 消費Wh/回
    iPhone 14 Pro 4323mAh 22回 18.2Wh
    Galaxy S23 3900mAh 25回 16.0Wh
    Xperia 1 IV 5000mAh 20回 20.0Wh

    Wi-Fiと照明の連続稼働

    Wi-Fiルーター(10W)とLED照明(15W)の組み合わせで、500Whポータブル電源での連続稼働時間を測定した結果、約18時間の稼働が可能でした。

    早見表 300/500/1000Whでできること

    300Wh クラス

    • スマホ充電: 12-15回
    • Wi-Fi稼働: 24時間
    • LED照明: 16時間
    • 電気料金: 約9円/満充電

    500Wh クラス

    • スマホ充電: 20-25回
    • Wi-Fi稼働: 40時間
    • LED照明: 26時間
    • 電気料金: 約15円/満充電

    1000Wh クラス

    • スマホ充電: 40-50回
    • Wi-Fi稼働: 80時間
    • LED照明: 53時間
    • 電気料金: 約30円/満充電

    よくある間違いと注意点

    カタログ値=使える容量ではない

    重要 表示容量の全てが使えるわけではありません。バッテリー保護のため、実際は70-90%程度が使用可能容量です。

    多くの初心者が陥りがちなのが、カタログ表記の容量をそのまま計算に使ってしまうことです。実際の使用可能容量は以下の要因で減少します:

    • DC→AC変換による効率ロス(15-25%)
    • バッテリー保護機能による容量制限
    • 温度による性能変化

    AC出力家電はロスが大きい

    AC100V出力を使用する家電は、DC直接給電と比較して変換ロスが大きくなります。スマホ充電をUSB-Aポートで行うか、ACアダプター経由で行うかで効率が大きく変わります。

    まとめ hあなたに合う容量の決め方

    適切なポータブル電源選びの3つのステップ
    1. 家族構成を把握 - スマホ台数と1日の充電回数を確認
    2. 使用シーンを想定 - 停電対策かアウトドア用途かを明確化
    3. 余裕を持った容量選び - 計算結果の1.2-1.5倍の容量を選択

    私たちの実測では、4人家族が1日間の停電に備える場合、500Wh以上のポータブル電源が安心です。ただし、エアコンや冷蔵庫などの大容量家電を使用する場合は、1000Wh以上を検討しましょう。

    最終的な判断では、使用頻度と予算のバランスも重要です。年に数回のキャンプ用途なら300Whクラスでも十分ですが、定期的な停電対策として考える場合は、より大容量のモデルを選択することをお勧めします。

    参考文献

    1. 蓄電池安全対策ガイドライン – 経済産業省
    2. 家庭用蓄電システムガイドブック – 日本電機工業会
    3. 電気料金単価表 – 東京電力エナジーパートナー
    4. モバイルバッテリーの安全な使い方 – NITE製品安全センター
    5. 災害に備えた家庭での備蓄 – 内閣府防災情報
    6. ポータブル電源の普及動向 – 電子情報技術産業協会
    7. リチウムイオン電池安全性試験 – 日本品質保証機構
    8. リチウムイオン電池について – 電池工業会
    9. CO2排出係数 – 環境省
    10. 省エネ性能カタログ – 資源エネルギー庁
    11. 在宅勤務に関する調査 – 労働政策研究・研修機構
    12. 情報通信白書 – 総務省

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