ポータブル電源

飛行機に持ち込めるポータブル電源の最大容量は?国内線・国際線の最新ルールまとめ

「ポータブル電源は何Whまで持ち込めるの?」「モバイルバッテリーの個数制限は?」「予備電池として扱われるのはどんなもの?」

旅行やビジネスで欠かせないポータブル電源やモバイルバッテリーですが、リチウムイオン電池を使用した製品は航空機内での安全性を確保するため、厳格な容量制限が設けられています。2025年7月には新たなルールも施行され、機内での取り扱いにも変更が加えられました。

本記事では、JAL・ANA・Peach・Jetstarなど主要航空会社の最新ルールを比較し、IATA危険物規則に基づく国際基準から、実際の体験談、おすすめ製品まで、機内持ち込みに関する疑問を完全解決します。

なぜ容量制限があるのか|リチウムイオン電池と安全基準

航空機内でのリチウムイオン電池の容量制限は、国際民間航空機関(ICAO)の技術指針とIATA(国際航空運送協会)危険物規則(DGR)に基づいて設定されています。これらの規則は、世界各国の航空当局が採用する国際基準として機能しています。

IATA危険物規則(DGR)の概要

2025年1月1日より適用されているIATA DGR第66版では、リチウムイオン電池の航空輸送に関する規則が一部改定されました。主な変更点として、充電率(SoC:State of Charge)の規定が追加され、従来の推奨事項から義務規定に変更されています。

IATA DGR第66版の主な変更点(2025年1月1日施行)

  • リチウムイオン電池の充電率を定格容量の30%以下に制限(義務化)
  • 新規リチウムイオン電池駆動車両の分類追加
  • パッキング・インストラクション(PI)規定の詳細化

電池容量の計算式

リチウムイオン電池の容量制限は「ワット時定格量(Wh)」で表示されます。多くの製品にはmAh(ミリアンペア時)表記しかない場合があるため、以下の計算式で換算する必要があります。

Wh(ワット時) = V(電圧) × Ah(アンペア時)

例:20,000mAh(3.7V)のモバイルバッテリーの場合
20,000mAh = 20Ah、3.7V × 20Ah = 74Wh

注意:製品に表示されている容量とWh値が異なる場合があります。必ず製品仕様書やメーカー公式サイトでWh値を確認してください。

国内主要航空会社の持ち込みルール比較表(2025年7月時点)

国内線では国土交通省の指針に基づき、各航空会社が統一的なルールを適用していますが、実際の運用面では若干の違いがあります。以下、主要航空会社の最新ルールを比較します。

JAL(日本航空)

JALは2025年7月8日より、機内でのモバイルバッテリーの取り扱いに関する新しいルールを施行しました。これは国土交通省航空局からの要請に基づく措置で、機内での発煙・発火事例の増加を受けたものです。

JAL 2025年7月8日以降の新ルール

  • モバイルバッテリーは座席上の収納棚に収納禁止
  • 充電時は常に状態が確認できる場所で実施
  • 160Wh超の製品は機内持ち込み・預け入れ共に禁止

ANA(全日本空輸)

ANAも7月8日からJALと同様の新ルールを適用しています。リチウムイオン電池の基本的な持ち込み制限は以下の通りです。

容量区分機内持ち込み預け入れ個数制限
100Wh以下不可制限なし
100Wh超~160Wh以下不可2個まで
160Wh超不可不可輸送禁止

Peach(ピーチ・アビエーション)

Peachは格安航空会社(LCC)ですが、安全基準に関しては大手航空会社と同等の規則を適用しています。

  • 100Wh以下:個数制限なし、機内持ち込みのみ可能(短絡防止措置必要)
  • 100Wh超160Wh以下:1人2個まで機内持ち込み可能(短絡防止措置必要)
  • 160Wh超:機内持ち込み・預け入れ共に禁止

Jetstar(ジェットスター)

Jetstarも基本的には国土交通省の指針に従った運用を行っていますが、LCCとしての独自の取り扱いルールがあります。公式サイトでは危険物の代表例を掲載しており、リチウムイオン電池についても詳細な説明を提供しています。

国際線 IATA+主要キャリア最新ポリシー

国際線では、IATA危険物規則を基準としつつ、各国の航空当局と航空会社が独自の制限を設ける場合があります。特に格安航空会社(LCC)では、より厳格な運用を行うケースが見られます。

LCC(格安航空会社)の傾向

チェジュ航空

チェジュ航空では、160Whを超えるモバイルバッテリーの輸送を完全に禁止しています。実際の搭乗体験者によると、チェックインカウンターでモバイルバッテリーの確認が行われ、容量チェックと短絡防止措置の確認が実施されます。

「バッテリーは購入時に付属していたメッシュバッグに入れていたのでそのまま持ち込みOKと言われました。もし裸だったら、ジッパーバッグに入れてくださいとのことです。絶縁テープを貼る必要もないとのことです。」
(出典:チェジュ航空搭乗体験談 - 2025年4月確認)

フルサービス(大手国際線キャリア)

United Airlines(ユナイテッド航空)

ユナイテッド航空では、最大160ワット時のリチウムバッテリーを2個まで機内持ち込み可能としています。取り外し可能なリチウムバッテリーは取り外しておく必要があります。

Emirates(エミレーツ航空)

エミレーツ航空では、モバイルバッテリーや電子タバコは機内持ち込みのみ可能で、預け入れは完全に禁止されています。

Lufthansa(ルフトハンザ航空)

ルフトハンザ航空は、個人用の電子機器とバッテリーを危険物として分類し、破損した場合の発熱、ショート、発火の恐れがあることを明記しています。

よくある誤解と失敗談|口コミから学ぶ注意点

実際の搭乗体験者の声から、よくある誤解や失敗パターンを整理しました。これらの事例を参考に、トラブルを未然に防ぐことができます。

失敗事例1:容量表示の誤認

「519Whのポータブル電源を持参しようとしたが、160Whを超えるため持ち込み不可と判明。現地で購入するか、陸送・船便で送るしかない。」
(出典:Yahoo!知恵袋 - 2024年5月確認)

学び:大容量のポータブル電源は事前に容量確認が必要。519Whは160Whを大幅に超えるため、航空輸送は不可能。

対応策:旅行先で現地購入するか、宅配便の陸送・船便を利用する。一部の輸送業者では貨物専用航空機を使用したサービスも提供。

失敗事例2:預け入れ荷物への混入

「中国東方航空でモバイルバッテリーを没収された。HPには充電式バッテリー100Wh~160Wh持ち込みOKと書いているのに…」
(出典:フォートラベル - 2018年10月確認)

学び:モバイルバッテリーは必ず機内持ち込み手荷物に入れる。預け入れ荷物に入れると没収される。

対応策:チェックイン前に手荷物の中身を再確認し、全てのバッテリー類を機内持ち込み手荷物に移す。

失敗事例3:中国国内線での厳格な運用

「中国では機内でもモバイルバッテリーから充電しているとCAさんから注意されている人もいました。中国はいろいろ日本よりも厳しい部分があると思います。」
(出典:note - 2025年7月確認)

学び:国・地域によって運用が異なる。中国では機内使用にも制限がある。

対応策:各国の航空当局や航空会社の最新ルールを事前に確認する。

容量別おすすめポータブル電源 3選【100Wh未満/120Wh/150Wh】

機内持ち込み可能な容量別におすすめのポータブル電源を紹介します。実際の測定値とスペックを基に、旅行用途に適した製品を厳選しました。

100Wh未満:制限なし持ち込み可能

ELECAENTA ポータブル電源 99Wh

項目仕様
容量99Wh
重量1.5kg
AC出力120W(ピーク200W)
USB出力PD30W対応
充電方式AC/ソーラー充電対応

軽量で持ち運びやすく、飛行機への持ち込みが最も確実な容量帯です。日帰り旅行や短期出張に最適。

120Wh:2個まで持ち込み可能

Anker PowerHouse 120

項目仕様
容量120Wh
重量約2.2kg
AC出力100W
USB出力PD30W×2ポート
充電時間約3.5時間

中容量でバランスの取れた製品。ノートPCや複数デバイスの充電に対応。1~2泊の旅行に適している。

150Wh:2個まで持ち込み可能

EcoFlow RIVER 2

項目仕様
容量150Wh
重量約3.5kg
AC出力300W
USB出力PD60W対応
充電時間約1時間(高速充電)

160Wh以下の上限に近い容量で、高出力にも対応。長期旅行や複数デバイスの同時使用に最適。

よくある質問(FAQ 5件)

Q1: 預け荷物でも持ち込み禁止なのはなぜですか?

A: リチウムイオン電池は貨物室で発火した場合、迅速な対応が取れないためです。機内持ち込みであれば、乗務員が即座に対応できるため、安全上の理由から機内持ち込みのみが許可されています。

Q2: モバイルバッテリーは何個まで持ち込めますか?

A: 100Wh以下は個数制限なし、100Wh超160Wh以下は2個まで、160Wh超は持ち込み禁止です。ただし、「個人使用の範囲内」という条件があります。

Q3: 機内でモバイルバッテリーを使用する際の注意点は?

A: 2025年7月8日以降、座席上の収納棚には収納禁止です。充電時は常に状態が確認できる場所で行い、異常があれば直ちに使用を中止してください。

Q4: 容量表示がmAhのみの製品はどう判断すればよいですか?

A: 電圧(V)×容量(Ah)でWh値を計算します。一般的なリチウムイオン電池は3.7Vなので、20,000mAhの場合は20×3.7=74Whとなります。

Q5: 国際線と国内線でルールは異なりますか?

A: 基本的なIATA規則は共通ですが、各国の航空当局や航空会社によって細かい運用が異なる場合があります。搭乗前に各社の最新ルールを確認することをおすすめします。

まとめ

ポータブル電源・モバイルバッテリーの機内持ち込みについて、押さえておくべき重要なポイントは以下の3点です。

  1. 容量制限の遵守:100Wh以下は無制限、100-160Whは2個まで、160Wh超は持ち込み禁止
  2. 預け入れ禁止:全てのリチウムイオン電池は機内持ち込み手荷物のみ
  3. 新ルール対応:2025年7月8日以降、座席上収納棚使用禁止、充電時は監視下で実施

重要な注意事項: 航空会社や国・地域によって運用が異なる場合があります。搭乗前には必ず各航空会社の公式サイトで最新情報を再確認してください。

安全で快適な空の旅のために、適切な容量の製品選択と正しい取り扱いを心がけましょう。

参考文献 / 画像クレジット

  1. 機内でのモバイルバッテリーの収納・使用に関するお願い(2025年7月8日以降) - JAL - https://www.jal.co.jp/jp/ja/info/2025/other/250701/
  2. 制限のあるお手荷物 - JAL - https://www.jal.co.jp/jp/ja/dom/baggage/limit/
  3. 機内持ち込み・お預かりできないもの - ANA - https://www.ana.co.jp/ja/us/travel-information/baggage-information/restricted-prohibited/
  4. 制限のある手荷物 - Peach Aviation - https://www.flypeach.com/lm/ai/airports/baggage/limited_bag
  5. 危険物 - United Airlines - https://www.united.com/ja/jp/fly/baggage/dangerous-items.html
  6. IATA航空危険物規則書第66版(DGR)改定に伴うご案内 - ANA Cargo - https://www.anacargo.jp/ja/news/iata66dgr.html
  7. 2025年1月からの日本航空における危険物取扱について - JAL - https://www.jal.co.jp/cms/jalcargo/headline/ja/pdf/24-027%202025年1月からの日本航空における危険物取扱について.pdf
  8. 【チェジュ航空口コミ】機内持ち込み厳しい?モバイルバッテリー - zizi旅 - https://zizitabi.com/entry/jejuair-baggage
  9. 飛行機持ち込めるポータブル電源について - Yahoo!知恵袋 - https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10298570990
  10. リチウムイオン電池の輸送・梱包ガイド(2025年1月変更) - https://lithium-btry.com/
  11. 【2025年最新】飛行機にモバイルバッテリーは持ち込める? - Anker Japan - https://www.ankerjapan.com/blogs/magazine/mobilebattery-ontheplane
  12. 持ち運びやすい軽量ポータブル電源 - BIGLOBE - https://outdoor.biglobe.ne.jp/rankings/14091/

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